米国ETFとは?
ETFとは、Exchange Traded Fundsの略で証券取引所に上場している投資信託のことです。アメリカの証券取引所で上場しているものが米国ETFです。
SBI証券では、290 銘柄
楽天証券では、308銘柄 等
この中から自分にあったETFを選択していきます。
その時に考えるポイントの一つが、
『自分はインカムゲインを重要視するのか、キャピタルゲインを重視するのか、適度に両方重要視するのか?』
キャピタルゲインは、「売買損益」とも呼ばれ、金融商品を売ったときと買ったときの差額に該当するものです。
一方、インカムゲインは「配当金(分配金)収入」で金融商品を保有している期間に配当金(分配金)として得られる収益です。
米国ETFの一つで今急成長のQQQは、Amazon、Google等米国の代表的なハイテク銘柄で構成されているETFで、配当利回りは0.74%と低い代わりに、キャピタルゲインを期待されています。
今回、ご紹介する米国高配当ETFは、インカムゲインを重要視する際に検討するETFになります。
ご注意頂きたいのは、インカムゲインを重要視すると言っても、キャピタルゲインはどうでも良いという事では全くありません。
例えばインカムゲインで配当が年率5%であっても、そのETFが毎年10%値下がりしていけば、資産はどんどん減っていきます。
配当の高さだけで選ぶと危険です。
米国高配当ETFのメリット・デメリット
・業績が安定し、成熟したディフェンシブ銘柄が多い
高い配当金がもらえる
米国の高配当株式ETFを構成する企業には「高配当」や「連続増配」を出すものが多なっています。
米国株ETFの平均的な配当利回りが「2%弱」であるのに対し、米国高配当ETFの場合は「3%~6%」と大きな違いがあります。
この高い配当金を最終的にはリタイア後の生活資金に当てることで、より少ない原資でこのブログで紹介しているFIREを達成することができます。
また、リタイアまでにより、原資が必要な際は、この配当金を再投資してより大きなリターンを狙うことができます。
業績安定し、成熟したディフェンシブ銘柄が多い
米国高配当ETFは主にエネルギー・ヘルスケア・生活必需品・公共事業といった比較的業績が安定し、成熟しているセクターに属する銘柄で構成されています。
先程紹介したETFであるQQQの様に高い成長力や市場を積極的に牽引していく様な企業は入ってきませんが、安定した利益率や売上を誇り、高いブランド力のある企業が多く構成銘柄にはいっています。
・キャピタルゲインはあまり期待できない
税金が配当の度に取られる
キャピタルゲインを目指した投資であれば、株を売買したタイミングで税金を支払う必要がでてきますが、インカムゲインを目指した投資では、配当の度に税金がかかってきます。(キャピタルゲインを目指した投資でも配当があれば、その文税金はかかります。)
税金については米国内の源泉税分10%と日本国内の源泉税分20.315%がかかってきます。
このうち米国内の源泉税分10%については、確定申告することで還付されることになります。
配当金を再投資するにしても、一旦税金が引かれた状態で再投資することになり、投資効率としては低くなってしまいます。
キャピタルゲインはあまり期待できない
米国高配当ETF構成銘柄は、比較的業績が安定し、成熟しているセクターに属する銘柄で構成されています。これ以上の大幅な成長が見込めず、企業として投資するよりも株主に還元しようというという意味で配当金が高いのですね。
そのため、大幅な成長は見込めないので、キャピタルゲインはあまり期待できないといえるでしょう。
これら米国高配当ETFのメリット・デメリットは表裏一体の部分がありますが、これらを理解した上で、どの米国高配当ETFを選択するかが大切です。
【米国高配当ETF】VYM・HDV・SPYDとは?
米国高配当ETFで良く比較されるのがVYM・HDV・SPYDの3つです。
それぞれの特徴は以下の通りです。
銘柄名 | ティッカー | 運用 会社 | 経費率 (年率) | 上場 市場 | 分配金 の頻度 | 利回り (30日) | 純資産 総額 |
バンガード 米国高配当 株式ETF | VYM | バンガード・ グループ | 0.06% | NYSE Arca | 四半期 ごと | 3.07% | $ 33.32 B |
SPDR ポートフォリオ S&P500高配当 株式ETF | SPYD | ステート・ ストリート | 0.07% | NYSE Arca | 四半期 ごと | 4.45% | $ 1.94 B |
iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF | HDV | ブラックロック | 0.08% | NYSE Arca | 四半期 ごと | 3.57% | $ 5.68 B |
バンガード米国高配当株式ETF(VYM)の特徴
VYMは他の2つと比較すると、構成銘柄が428(6月30日現在)と多くなっています。そのため、比較的セクターが分散されています。
今回のコロナショックでの株価暴落時はセクターが分散されていたことが影響したのか、最大暴落率、回復度合いをみても他と比較し悪影響が低かったと言えます。
ただ、配当利回りは、他と比較しても低いことから、インデックス投資よりの米国高配当ETFと言えるかもしれません。
投資アプローチ
- FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指します。
- 完全法を用いたパッシブ運用です。
- ファンドはフルインベストメントを維持します。
- 大型株の中でも、予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄を、重点的に組入れます。
- 低経費によってトラッキングエラーを最小限に抑えます。
ベンチマークについて
米国株式市場の、高い配当利回りの銘柄で構成される、FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスに連動したパフォーマンスを目指します。
セクター別構成比率
上位保有銘柄(2020/6/30)
保有銘柄 | Ticker | ファンド構成比 |
Johnson & Johnson | JNJ | 3.85400 % |
Procter & Gamble Co. | PG | 3.02900 % |
JPMorgan Chase & Co. | JPM | 2.96100 % |
Intel Corp. | INTC | 2.63600 % |
Verizon Communications Inc. | VZ | 2.37400 % |
AT&T Inc. | T | 2.24000 % |
Cisco Systems Inc. | CSCO | 2.05800 % |
Merck & Co. Inc. | MRK | 2.03000 % |
Exxon Mobil Corp. | XOM | 1.96700 % |
Bank of America Corp. | BAC | 1.90900 % |
参考サイト:バンガード日本個人投資家向けサイト
SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPYD)の特徴
IVVやVOO等のS&P500指数は時価総額加重平均で構成されており、マイクロソフトやアマゾンといった超大型IT株が上位構成銘柄を占めています。
それに対し、SPYDは、S&P500構成銘柄のうち、配当利回り上位80銘柄で構成されており、1月と7月のリバランスの歳、各銘柄の構成比率を均等ウェイトとなるよう調整しています。
そのため、他の2つよりも高配当銘柄に集中して投資していることから、配当利回りは高いというメリットはありますが、デメリットとしてセクターに偏りがあります。
今回のコロナショックで一番、値下がりし、戻りも低いETFとなっています。
ただ、その分今であれば安く購入することができるETFとも言えますね。
更に、現在の基準価格は$28.52となっており、他のETFより少額で購入することができることも特徴の一つになります。
セクター別構成比率(2020/7/22)
上位保有銘柄(2020/6/30)
保有銘柄 | Ticker | 保有比率(%) |
Gilead Sciences Inc. | GILD | 2.505724 |
General Mills Inc. | GIS | 2.500664 |
AbbVie Inc. | ABBV | 2.427021 |
Kraft Heinz Company | KHC | 2.381789 |
Digital Realty Trust Inc. | DLR | 2.343997 |
Crown Castle International Corp | CCI | 2.326722 |
Cardinal Health Inc. | CAH | 2.165722 |
Amcor PLC | AMCR | 2.156521 |
Hanesbrands Inc. | HBI | 2.046571 |
Kellogg Company | K | 2.019162 |
iシェアーズ・コア米国高配当株 ETF(HDV)の特徴
HDVは、米国の財務優良企業のうち配当利回りの高い約70~80銘柄で投資しています。
HDVの特徴は四半期に1度、銘柄の組み替えをしていることです。
配当利回りが落ちたり、減配された銘柄はすぐ入れ替えることで、安定した配当を実現させようとしています。VYMは1年に1度の入れ替え頻度です。
セクター別構成比率
上位保有銘柄
保有銘柄 | Ticker | 保有比率(%) |
AT&T INC | T | 9.48 |
EXXON MOBIL CORP | XOM | 8.43 |
JOHNSON & JOHNSON | JNJ | 7.17 |
VERIZON COMMUNICATIONS INC | VZ | 6.49 |
CHEVRON CORP | CVX | 6.05 |
PFIZER INC | PFE | 6.00 |
COCA-COLA | KO | 4.19 |
CISCO SYSTEMS INC | CSCO | 4.02 |
MERCK & CO INC | MRK | 3.98 |
PEPSICO INC | PEP | 3.59 |
【米国高配当ETF】VYM・HDV・SPYDのまとめ
今回、米国高配当ETFの中でも人気のVYM・HDV・SPYDについてご紹介致しました。
・VYMは銘柄数を増やしてリスク分散しているが、配当利回りは低めで、インデックスETFに近い。
・SPYDは、高配当銘柄に特化しているので、コロナショックのような暴落時は注意が必要だが、配当利回りは高め
・HDVは、財務優良銘柄を中心に組み替え頻度を高めてリスク分散
それぞれの特徴からご自身の考えに最も近い物を選択しても良いですし、組み合わせもありです。
例えば、SPYDとHDVの構成される上位セクターが異なることが確認できるかと思います。
この二つを組み合わせて購入することで、幅広いセクターの中から高配当銘柄を選択した運用をすることができます。
少しでも参考になればありがたいです。
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